馮小剛《手機》
2004.10.11 Monday 12:53
ogawat
今回も携帯電話を材料にした映画で、今の中国、とくに北京の風俗をよく描けていて、実に秀逸ですし、映画のなかで交わされる会話、そしてSMS(Short Message Service:携帯を介してやりとりされるメール)の凝縮された表現は実に機知に富んでいますから、中国で人気を博する理由が良く分かります。登場人物は実在のトークショーの司会者のパロディで、その人物の女性関係(妻、二番目の妻、若い愛人)を中心に展開します。平たく言ってしまえば、いかに他の女にばれないように浮気をするかという目的のために携帯が使われ、その使われ方の面白さが映画の面白さにつながってくるので、携帯愛用派だけでなく、私のような携帯敬遠派(?)にとっても、面白く見られる作品に仕上がっていると思います。
それだけであれば、単なるトレンディドラマなのですが、今回すこし、おや?と思わされたのは、冒頭で電話が村に一つしかない農村から出稼ぎに出ている鉱山に電話をかけるシーンがあって、これまた今というよりも30年ぐらい前の雰囲気ですが、電話が切実なコミュニケーションのツールとして使われていたことが暗示され、登場人物の一人が繰り返し呟くように、「我々は余りに近くなりすぎた」という感慨とのコントラストが鮮明に描きだされます。「周りに迷惑」とか、「うるさい」とかいった浅薄なケータイ批判ではなく、コミュニケーションのツールが発達しすぎた現代人が突き当たった隘路を描き出せている点では出色といえるのではないでしょうか。最後に携帯を捨ててしまうのは教訓的なオチで余り好きではありませんが。
むろん映画から余り社会批評的な視点が出てくるのを歓迎しない人にとっては面白くないかも知れませんが、面白い作品です。日本でも公開されるといいな。
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