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七里香

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この前の日曜日から沈丁花が咲き出して、もう昨日今日はもう八分咲きぐらいで、満開状態。せっかくだからと、部屋の花瓶にも生けているので、今も沈丁花の香りに包まれて過ごしています。それぐらい沈丁花はお気に入りの花なのです。中国のことをやる前から、香りの強い花が好きだったのですが、じつは中国人も国民性といって良いくらい、みな香り高い花を好みます。

日本には中国渡来の植物がたくさんありますが、春を告げる沈丁花もその一つです。沈香と丁子(クローブ)に因んだ名前は日本固有らしく、中国名では瑞香花とよびます。しかし、飯倉照平『中国の花物語』(集英社新書)を引き合いに出すまでもなく、花の名前は地域ごとの相当異なり、台湾では七里香と呼ぶそうです。むしろ最近では台湾の人気歌手、周杰倫(ジェイ・チョウ)が『七里香』というアルバムを出したおかげで、こちらの方が有名になったかもしれません。

七里香という名前は文字通り七里先まで香るほどの濃厚な香りという意味で大変分かりやすいと思いますが、その香りを友情や愛情にたとえるのは中国的と言えるかもしれません。台湾の女流詩人であり、画家でもある席慕容にも同名の詩集があり、男女間の情愛の深さを沈丁花の濃厚な香りで表現しているのは、いかにも中国らしいと思います。

七里香
溪水急著要流向海洋
浪潮卻渴望重回土地

在綠樹白花的篱前
曾那樣輕易地揮手道別

而滄桑的二十年后
我們的魂魄卻夜夜歸來
微風拂過時
便化作滿園的郁香
—— 一九七九·八


沈丁花
渓流は大海原へと流れこもうと急ぎ、
海潮は大地に再び帰りたいと切なく願う。

木々の緑に白い花が映える垣根の前で
あんなにもあっけなく手を振ってサヨナラした

何もかもが変わってしまった二十年
今でも二人の魂は夜ごとに帰っては
春風に乗って
かぐわしい風で庭じゅうを満たすのだ。

花そのものが美しいとはお世辞にも言えない沈丁花ですが、この詩のなかでは「綠樹白花」と、緑の葉に白い花が映えるコントラストの美しさが表現されています。中国の詩では常套的な手法(千里鶯啼綠映紅:杜牧《江南春》など)とも言えますが、沈丁花の花をこのように表現したのは面白いですね。

*あんまり訳がひどいので、改稿しました(^^;)はずかしい…
2004/02/27初稿
2006/04/01改稿
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